最後の2サイクル50cc !?、SR50R purejetの可能性・・・
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白山本社では月に1000台近くのメンテナンスや修理などの整備車両を扱うのですが、最近、入庫される車両を見ているとほとんど4サイクルのエンジンのオートバイばかり。特に比較的耐用年数の短い原付スクーターは、2サイクル車の販売が矢継ぎ早に終了した後、世代交代がどんどん進み、いまや絶滅寸前。
2サイクルのディオやジョグなどをメンテでお持ちになられるお客様はずいぶん減ってきたなと感じます。
そんな中、唯一の生き残りといっても良さそうなのが、aprilia SR50R purejet。
そう、各メーカーが2サイクル車の生産を終了していく中で、まだまだ現役、新車で手に入る50ccスクーターです。しかも、スポーティーでかっこいい。
次々と消えゆく2サイクル車のなかで、燃費の悪さ・環境性能の低さといった2サイクルエンジンの欠点を改善しつつ、販売を継続できるアプリリア社の技術力には本当に頭が下がりますね。
ただし、環境適合のためなのか、2サイクル独特のパンチ力が少なからず削がれているのは事実。
発進加速の際の瞬発力やエンジンが高回転まで軽々と伸びていくのが2サイクルの良さとすれば、少々不満の残るモデルでもありました。
当社では、その削がれたエンジン性能をパワーアップすべく、これまでフルパワーカスタムとして、排気系はleovinceチャンバー、駆動系も最適化するセッティングを施してきました。
しかし、直噴のフューエルインジェクション(Ditech)を採用した吸気系や点火系統のコントロールに関しては、ブラックボックス化されており、我々も今まで残念ながら手も足も出せませんでした。
よりパワフルさを求めるお客様にしてみても、これまでストレスを感じずにはいられなかったのではないでしょうか?
今回そのストレス源であった、吸気系や点火系の司令塔ともいうべき、エンジンコントロールユニット(ECU)をフルパワー仕様にセッティング変更することができましたので、さっそくレポートさせていただきます!
テスト車両はもちろんSCSフルパワーカスタム仕様の車両です。今回はおまけでシリンダーのベースガスケットも最も薄いものに変更、エンジンのコンプレッションも上げてあります。
セッティングに使用するのは市販のゲームボーイ(懐かしいですね・・・)。そして、ECUのソフト書き換え用の専用カートリッジ。
ゲームボーイにECUセッティング用カートリッジをセット、オンボードのカプラーに差し込んだ後、フルパワーのソフトの書き込み開始です。
プログラミング中・・・
そして、完了。
ソフト入替の時間はわずか数分。何度もキャブレターを外したり、つけたりして時間かけてセッティングしていたの時とは隔世の感です・・・。
さて、肝心の試乗した感想ですが、2サイクル本来のパンチ力が戻った感じです(もちろんウィリーするほどのパワフルさではありませんが・・・)。スタンダードのECUプログラムがかなりエンジン出力を抑えているのが判ります。特に中間~高回転域で、明らかに力強さが増し、9000rpm付近までスムーズに吹け上がっていきます。0発進時のトルク感も一回り増した感があり、ストレスなく乗れるようになりました。これこそ本当のフルパワー仕様でしょう。
今回のフルパワーSR50R purejet、スポーティーな2サイクル50CCに乗ったときの感覚を久しぶりに思い出させてくれました!